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シリーズ「農業土木遺産を訪ねて」の連載に当たって

日本においては、縄文時代は狩猟採取の時代であり、約2300年前の弥生時代に至って稲作に代表される農耕の時代に入ったとされていた。しかし、最近の全国各地の遺跡の発掘調査と科学分析の進歩によって、稲作の開始は約6000年前の縄文前期までさかのぼるという説が強くなってきた。日本人の主食となった「米」(といっても主食として庶民の口に入るようになったのは比較的近年のことであり、日本人は食べて美味しく滋養に富む米に古くから憧れを抱きつづけてきた)のうち、縄文前・中期は陸稲であり、縄文後期に水稲が栽培され、弥生時代に入って水稲が本格的に普及したといわれている。
この稲に代表される農耕は、当然土地に対して何らかの人為的な働きかけがあって成り立つものである。この人為的な土地への働きかけの大きな要素が、「農業土木」であった。このように、農耕の発生・普及とともに農業土木技術も生まれ、発達してきたことは間違いない。爾来、私達の先祖は、数千年に亘って、水田や畑などの農地を拡大し、棚田や段々畑といわれるような田舎のピラミッドを作り上げ、「水」をコントロールするための様々な工夫や投資を行ってきた。まさに、日本列島の各地において営々と農業土木を積み重ねてきた。つまり、農業土木は「大地に刻んできた歴史」であるといえる。
このような「大地に刻んできた歴史」である農業土木の遺産は、今や、単にその地域の農業の資産に留まらず地域全体の資産であり、ひいては国民全体の資産でもある。そこで、この貴重な国民的な資産である「農業土木の遺産」について、代表的な土地基盤の整備や水利施設の建設の歴史やその技術的な特色、それに関係した人物などを漸次紹介して行くことを企画した。
なお、対象とする農業土木事業や農業水利施設は、概ね半世紀前の戦前(太平洋戦争以前)までにその原形が形成されたものとした。また、取り上げる遺産については、できるだけ地域的な偏りや水利施設等の種類に偏りのないように心掛けるようにした。

 
シリーズ「農業・水と祭り」の連載に当たって

日本の全国各地に、四季折々に、様々な祭りの行事がある。全国の人々に知られている祭りもあれば、地域の人々によって密かに受け継がれてきている祭りもある。また、伝統のある祭りもあれば、比較的新しい祭りもある。祭りは、人間が自然界の中で生きて行く上で、人知を超える存在(自然・神仏など)に対する恐れや祈り、感謝を表した行事、あるいは、人知を超える存在と一体になることの儀式である。その中で、家内の安全と子孫の繁栄を祈るとともに、農耕とそれを支配する土地・水に感謝する祭りが圧倒的に多い。これは、人間の存在にとって「食」と「水」が絶対に不可欠なものであり、同時にこれによって「家」、「一族」、「むら(地域社会)」の安寧と繁栄に関係するものであることによっている。
近年、多くの祭りが刊行や地域の活性化の手段として行われている感が無いでもない。それを否定するものではないが、本来、祭りは地域の人々がその地域の自然・神仏などに祈り、感謝し、家族やむらの連帯を確かめ合うものである。このような祭りの原点を再度思い返しながら、その祭りのいわれや歴史を振り返ってみることが必要ではないかと思うものである。
このようなことから、「農業」とそれを支配する「土地」、「水」に係わる全国の祭りについて連載するものである。なお、連載に当ってできるだけ地域的に偏りのないように、また、連載する季節にふさわしいものを取上げるように配慮した。従って、本誌に紹介したものは全国各地の祭りの一部であり、本来取上げるにふさわしい祭りが沢山あることを最初にお断りしておきたい。(平成12年1月)

 
 
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号数

シリーズ(読み物)-
    「農業土木遺産を訪ねて」

シリーズ(読み物)-
     「農業・水と祭り」

256
 
(h19.01)
表紙
目次

『急斜面に挑んで…』― 段々畑 ―
愛媛県松山市・宇和島市/安斎 忠雄

『祭りが育てる連帯感』―小正月行事(鳥追い)
新潟県上越市/岡村 直樹

255
 
(h18.11)
表紙
目次

『シラス台地を拓く』― 野井倉用水 ―
鹿児島県志布志市有明町/安斎 忠雄

『慈雨への願い一途に 雨乞いの「百石踊り」』
兵庫県三田市/岡村 直樹

254
 
(h18.09)
表紙
目次

『水との闘いの中で…』
/輪中〔木曽三川流域〕

『水害をめぐる攻防劇』
/ヤッサ祭り〔群馬県みなかみ町〕

253
 
(h18.07)
表紙
目次

『城下町に水流れて』
/雄川堰用水〔群馬県甘楽町〕

『ケガツを恐れる心』
/虫送り〔青森県五所川原市・岩手県二戸市〕

252
 
(h18.05)
表紙
目次

『荒野を沃野に…』
/那須疏水〔栃木県那須塩原市〕

『桃源郷が守る田植文化』
/太鼓田植〔岡山県新見市神郷〕

251
 
(h18.03)
表紙
目次

『原野を沃野に…』
/滝の頭用水〔秋田県男鹿市若美町〕

『湖国沸かす神輿』
/日吉大社山王祭〔滋賀県大津市坂本〕

250
 
(h18.01)
表紙
目次

『出雲平野を拓く』
/高瀬川・荒木浜開拓〔島根県出雲市〕

『雪国が生んだ祝福神』
/なまはげ柴灯まつり〔秋田県男鹿市〕

249
 
(h17.11)
表紙
目次

『筑紫二郎を汲み揚げる』
/朝倉重連水車群・山田井堰〔福岡県朝倉町〕

『神事と芸能渾然一体に』
/伊勢大神楽〔三重県桑名市〕

248
 
(h17.09)
表紙
目次

『聖恩に報いて』
/聖台貯水池 〔北海道美瑛町・東神楽町・旭川市〕

『地蔵への信仰が原点』
/つくりもんまつり〔富山県福岡町〕

247
 
(h17.07)
表紙
目次

『岩盤に挑む』
/仰西渠 〔愛媛県久万高原町〕

『西洋の香りと念仏踊り』
/ジャンガラ〔長崎県平戸市〕

246
 
(h17.05)
表紙
目次

『紀州流開祖の遺構』
/藤崎井用水・小田井用水
〔和歌山県紀ノ川右岸流域〕

『芸妓が扮する植女』
/住吉大社の御田植神事〔大阪市〕

245号
 
(h17.03)
表紙
目次
『旧宿場町を潤しながら…』
/熊川(仮屋)用水
〔福井県上中町〕

『陰陽二つの性器崇拝』
/豊年祭〔愛知県小牧市、犬山市〕

244号
 
(h17.01)
表紙
目次
『箱根外輪山を掘り抜く』
/深良(箱根)用水
〔神奈川県箱根町・静岡県裾野市・御殿場市・長泉町・清水町〕

『雪国の秘事能に淫する』
/黒川能〔山形県櫛引町〕

243号
 
(h16.11)
表紙
目次
『明治の耕地整理』
/田区改正
〔石川県金沢市上安原町・富山県朝日町舟川新〕
『盆地農耕を映す冬祭』
/秩父夜祭 〔埼玉県秩父市〕
242号
 
(h16.09)
表紙
目次
『田の神の大地を潤す』
/享保水路
〔宮崎県えびの市〕
『水に乏しい讃岐の雨乞い』
/滝宮念仏踊り 〔香川県綾南町〕
241号
 
(h16.07)
表紙
目次
『土佐の井堰群』
/物部川・仁淀川・後川・松田川
〔高知県〕
『“火の国”の古代映す神事』
/ おん田祭り 〔熊本県一の宮町〕
240号
 
(h16.05)
表紙
目次
『慈徳の水渠』
/大井手水路
〔京都府加茂町・和束町〕
『農耕儀礼としての角力』
/ 大山祗神社の御田植祭
〔愛媛県大三島町〕
239号
 
(h16.03)
表紙
目次
『排水との闘い』
/井沼干拓/元禄潜穴・明治潜穴〔宮城県鹿島台町・松島町・大郷町〕
『火の霊力に感応する若衆』
/ 左義長まつり〔滋賀県近江八幡市〕
238号
 
(h16.01)
表紙
目次
『江戸・武蔵野の命脈』
/〔玉川上水・野火止用水・千川用水〕
『豊作願う新年の予祝行事』
/ 赤塚の田遊び〔東京都板橋区〕
237号
 
(h15.11)
表紙
目次
『琉球の農と水』
/〔沖縄県〕
『福を招く呵々大笑』
/ 笑い講〔山口県防府市〕
236号
 
(h15.09)
表紙
目次
均等分水の妙
/三分一湧水〔山梨県長坂町〕
主役は子供とワラ鉄砲
/十日夜〔群馬県片品村〕
235号
 
(h15.07)
表紙
目次
備中・備前の井堰
/湛井堰・田原井堰
〔岡山県高梁川・吉井川流域〕
みちのくの夏を彩る
/七夕〔宮城県仙台市〕
234号
 
(h15.05)
表紙
目次
大河の間で…
〔新潟県亀田郷〕
日々の暮らしの句読点
/雨宮の御神事〔長野県更埴市〕
233号
 
(h15.03)
表紙
目次
荒野を沃野に…
/三本木原開拓・稲生川
〔青森県十和田市ほか1市6町〕
豊凶を占う“猩々投げ”
/お蚕祭〔岐阜県岐阜市〕
232号
 
(h15.01)
表紙
目次
ダムの貴婦人
/白水ダム 〔大分県竹田市・荻町〕
銀世界が荘厳する神の宴
/水海の田楽能舞〔福井県池田町〕
231号
 
(h14.11)
苦悩の果てに…
/有島農場灌漑溝 〔北海道ニセコ町〕
被征服者の巨人信仰
/薩摩の弥五郎どん〔鹿児島県大隅町〕
230号
 
(h14.09)
関東流から紀州流へ
/見沼代用水路・見沼通船堀
  〔埼玉県行田市・さいたま市〕
瀬戸内回廊が運んだ文化
/池田の太鼓台〔香川県池田町〕
229号
 
(h14.07)
土砂排流400年
/鼻ぐり井手〔熊本県菊陽町〕
疫病退散を願う御霊会
/祇園祭〔京都府京都市〕
228号
 
(h14.05)
農の城塞
/丸山千枚田〔三重県紀和町〕
節季の役果たす田植神事
/御神田〔三重県磯部町〕
227号
 
(h14.03)
碧海台地を潤す
/明治用水
食生活を映す強飯式
/〔栃木県日光市〕
226号
 
(h14.01)
水の古城
/豊稔池〔香川県大野原町〕
綱奪い合う壮漢に舞う雪
/七日堂裸詣り〔福島県柳津町〕
225号
 
(h13.11)
公平な水配分の妙
/円筒分水工
田の神様を招いて歓待
/アエノコト〔石川県奥能登地方〕
224号
 
(h13.09)
荒蕪を美田に変えた水
/安積疏水・十六橋水門
〔福島県郡山市・須賀川市・日和田町・猪苗代町〕
心浮き立つ風流な芸能
/佐賀の面浮立〔佐賀県鹿島市音成〕
223号
 
(h13.07)
英知の遺構
/通潤橋〔熊本県矢部町〕
雨乞いの主役は龍
/岳の幟〔長野県上田市・別所温泉〕
222号
 
(h13.05)
開放構造の美堰
/西広板羽目堰〔千葉県市原市〕
神事色の濃い龍舟競漕
/ハーレー〔沖縄県糸満市〕
221号
 
(h13.03)
空海のアーチダム
/満濃池〔香川県満濃町〕
どろんこ祭り
/〔高知県高知市長浜〕
220号
 
(h13.01)
古代・中世の残影
/条里制遺構・環濠集落
  〔奈良盆地〕
神人一体の花祭り
/〔愛知県北設楽郡東栄町〕
219号
 
(h12.11)
恩沢の地下水脈
/マンボ〔三重県大安町・北勢町〕
豊作祈る舞に歓喜の渦
/高千穂夜神楽〔宮崎県高千穂町〕
218号
 
(h12.09)
殉教の流れ
/寿庵(安)堰〔岩手県胆沢町・水沢市・前沢町・金ヶ崎町〕
風害を避け・豊作祈る
/おわら風の盆〔富山県八尾町〕
217号
 
(h12.07)
名園を潤す用水
/辰己用水〔石川県金沢市〕
短い夏を惜しみ「騒ぐ」
/ねぷ(ぶ)た
216号
 
(h12.05)
佐賀市の命流
/石井樋〔佐賀県大和町・佐賀市〕
綺羅を尽くす民俗芸能
/花田植え
〔広島県山県郡千代田町・大朝町〕
215号
 
(h12.03)
高燥台地に水を求めて
/武蔵野の漏斗状井戸
聖なる水と火の行法
/お水送り・お水取り
214号
 
(h12.01)
平成の大改修で甦えるわが国最古の溜池
/ 狭山池
水神に祈りを捧げて…
/かまくら